図書館司書 レファレンス

インターネット普及以前のレファレンス・サービス

 

ここではレファレンスサービスが図書館において実際にどのように行われているか紹介します。インターネット普及以前の仕事と普及後の仕事の流れを比べることで、その有用性についても言及していきたいと思います。

 

具体的なケース〜マイヤーの本が見たい

 

雑誌「言語生活」の山口昌男の論文に紹介されているマイヤーの研究「複製技術に時代における芸術作品」とヘルマン・マイヤーの「西欧の小説における引用の詩学」の2つの文献を見てみたい、また後者は英文の原書が見たいという依頼を受けました。

 

この依頼自体、言語生活の該当ページも利用者が分かっている状態での質問だったので、質問を明確にするためのレファレンス・インタビューをする必要もなく、そう難しい質問ではないだろうと予測できた。そこまで難しくない質問とは思ったが、時間が少し掛かりそうだったので、調査の結果は翌日に知らせる約束をした。

 

調査開始

 

「引用の詩学」を調べてみると、「複製技術に時代における芸術作品」ではマイヤーと苗字だけが記載されており、「西欧の小説における引用の詩学」ではヘルマン・マイヤーと姓名が記載されており同一人物だとは考えられるが、「引用の詩学」という論題と合致せず、正しく引用していないのでは、疑惑が生まれてきた。

 

文献を引用する際は、外国人の姓名はローマ字などの原綴で表記していないと、探しにくいが場合がある。ヘルマンはHerman、マイヤーはMayerだから問題はないが、カタカナでマイヤーと表記されても原綴だと十数通りの書き方があったりする姓名も中にはある。

 

また原書の題名も原綴で示してもらわないと探しにくい。特に日本語訳で出版されていないのに、原書の題名を示さずに引用者が日本語に訳して表記したものは中々見つからない。

 

このようなあいまいな引用の仕方は、学術雑誌では許されないことになっているが、「言語生活」は学術雑誌ではないので仕方がないのだろう。また「複製技術に時代における芸術作品」という書名は、似たようなタイトルの本があることを知っていたので少しだけ気になった。このような感想を持っての調査開始。

 

なかなか見つからない・・・

 

依頼者の話では、図書館のコンピュータ目録とカード目録で著者名のマイヤー、Mayer、Meyerで検索したが見つからなかったと言っている。なので、この図書館には所蔵されてないようだ。

 

しかし、新しく入荷した本は全てコンピュータ目録に入力されているが、昔からある本はカード目録のみにデータが入っている。検索ミスをしている可能性もあると思い、念のためどちらの目録を当たってみるがやはり見つからなかった。

 

次に、書名で検索をかけてみる。後者の「西欧の小説における引用の詩学」は英語ではない。おそらくドイツ語が英訳された本であると推測できるが、英語訳本、ドイツ語の原書タイトルが分からない。

 

そのため前者「複製技術に時代における芸術作品」のみを検索してみる。見つからない。また、先程気になった「複製技術の時代における芸術作品」という似ているタイトルの本は見つかったがやはり、この著者はヴァルター・ベンヤミン。マイヤーではなかった。